これからの100年

今後の成長(発展)のために今取組んでいることは?

これから地域・建設業界はどう変わっていくと思いますか。

社長:現状が当たり前でなくなる時代がもう来ています。一番の影響は少子化です。消費者が減っていくというのは業界を問わず共通の課題です。この事態を見据えて会社組織の在り方を考えていかなければならないと思います。
少子化は人材不足にも影響を及ぼします。現場監督員は一人前になるのに10年かかると言われています。これからは良い人材を確保しつつ、10年かかるところを5年で済むような教育システムを構築して実行できる企業が生き残れるのではないかとみています。それから、コンプライアンス。信頼を失うのは一瞬ですから。私もそうですが、社員にも意識してもらうことが大切です。

当社では、建設会社として「地図に歴史に人の心に留まる建物を見守り続ける」というスローガンを掲げ将来への対応をしていきたいと考えています。人口が減っても松山が野原になることはない。当社が手掛けた建物を含め、今ある建物に対してメンテナンスをするということを強化しなければならないと思います。ニーズが獲得するために、1秒でも早く動ける体制を構築していくことが必要です。

1秒ですか。そこまでのスピード感が求められるんですね。

社長:1秒経つごとに人の信頼は失われていくと考えて行動したほうが良いと思います。人に頼みごとをした時にすぐ解決してくれたほうが嬉しいですよね。1秒が積み重なっていき、1日、1週間、1ヵ月と過ぎるごとに信頼は損なわれていきます。
また、門屋組に頼んだらなんとかしてくれる、と思われなければならないですね。忙しいから、面倒だ、などの理由で放っておいてはいけない。小さなことでも真摯に受け止め、向き合っていく姿勢を持つと人との信頼は間違いなく確保できると思います。それが、口コミとなって広がっていくのではないかというのが私の考えです。

工事案件が営業ツールになる。

社長:社員皆の姿勢がおのずと営業につながっていきます。

これからはより人材が大切になる。

社長:そうですね、人材が大切です。信じる者で「儲ける」という字になりますから、お互いに信頼し合える、そういう人材を常に育成し続けなければならないと思います。

代表取締役に就任するまでの経緯を教えてください。

組織も変えていかなければならないでしょうか。

社長:現状では現場監督員が一人前になるには10年かかります。ですから、あまり頻繁に組織を変えることは考えていません。
ただ、昔はこうだ、といった指導方針は今の時代には即しません。会社としては、ああしろ、こうしろ、とがんじがらめに指導するつもりはありません。自発的に計画を立てるくらいの行動力のある人材に育っていってほしいですね。自分自身で1年先、2年先の目標を立ててそれを検証しながら一緒に進めていくのが理想です。

自発的な人材を育てるのは難しいのでは。

社長:難しいです。ただ、ここにはお互いの信頼関係しかないかなと。会社を発展繁栄させたいと思うようになると自発的に行動できるようになると信じています。そう思わせるためには、リーダーが夢を持って、家族と思って接し続けるしかないと感じています。

これからの100年をどう描いていますか。

社長:私の今の一番のテーマは「創業200年への新たなる旅立ち」です。創業200年まであと93年です。私の世代だけでは紡げる年数ではない。私も含め、社員も世代交代をしなければなりません。円滑に引継ぎを行えるようしっかりと「マル留イズム」を継承していってくれる人を探し続けていきたいです。私はあくまでも中継ぎですからね。

中継ぎを行うために社長に課せられた使命は。

社長:大地震が起こるともいわれている中、社員の身の安全を確保するため社屋の建て替えを行うのが使命の1つです。現在の社屋は老朽化が進んでいます。同じ場所に建てるのではなく、松山中心市街地にも土地を持っているのでそちらに移転することも候補に挙がっています。街中にいるほうが情報収集をするにも適しています。これからの時代、いかに早く情報を得られるかということも大切ですから。テナントを誘致できる社屋を考えています。地域の活性化につながりますからね。

改めて創業200周年に向けて、未来の世代にメッセージを。

社長:迷った時には創業者の留一郎が何を思って会社を作ったのかというのを思い出していただきたい。「誠実一途」「顧客本位」の精神を皆が受け継ぎ、自分たちが建て続けてきた建物を見守り続けてください。

そして、人と人、人と建物、人と地域とのつながり、その全てを重んじ信頼関係を確固たるものにしてほしい。私の物語は200周年までは続かないが未来の会社・地域をよくするため日々邁進していきます。あなた方も、自身の物語を素晴らしいものにするためにもこの精神を忘れず紡いでほしいです。

創立200周年まであと